あらすじ：二代目･尾上菊之助の悲恋を描いた松村梢風の原作を巨匠・溝口健二が映画化した日本映画屈指の名作。戦前の溝口作品の中でも重要な1本で、溝口演出のトレードマークともいうべき1シーン･１カットが確立された作品と言われている。現存するネガとマスターポジから4Kスキャンと修復を行ったデジタル修復版。2015年、第68回カンヌ映画祭クラシック部門でワールドプレミア上映された。

　巨大なセットと豪華な美術を背景に、一流の演技と撮影技術が織り成す長回しの連続、舞台で実際に演じられる大規模な歌舞伎演目の数々、後続する無数の難病ラブストーリーのルーツともいうべき号泣のラストまで、圧倒的見せ場の連続。1939年キネマ旬報邦画第2位。脚本は依田義賢。同じく依田の脚本で1956年には島耕二監督、1963年には大庭秀雄監督によるリメイクが製作されている。
　明治初期の東京。実力もないのに人気に胡坐をかいていた二代目・尾上菊之助は、幼い義弟の乳母お徳に自分の芸を批判され、自分の愚かさに気づかされる。菊之助はお徳を愛するようになるが、身分違いの仲は許されず、お徳は家を出されてしまう。菊之助はお徳の後を追って大阪へ向かい、お徳は菊之助が歌舞伎役者として成功するよう献身的に支えていくが、病に倒れてしまう…。

【配信期間：2021年8月24日～9月22日】