あらすじ：芥川賞作家、井上靖が自身と家族の10年間の物語をつづった晩年の自伝的短編3部作「花の下」「月の光」「雪の面」からなる同名小説を、原田眞人監督が映画化した家族ドラマ。第35回モントリオール世界映画祭審査員特別グランプリ受賞。役所広司演じる主人公の母親役を熱演した樹木希林が第36回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。父親役の三國連太郎は本作が遺作となった。

　実家のシーンは井上靖が育った伊豆市、沼津市で撮影され、主人公の自宅シーンは、東京世田谷区にあった実際の井上靖邸で撮影が行なわれ、同邸の書斎や応接間は撮影終了後、旭川の井上靖記念館に移築された。樹木希林は東京国際映画祭のトークイベントで、最初は断ろうと思ったが、井上邸で撮影するというのでその家を見てみたいという思いで役を引き受けたと語った。
　人気小説家の伊上洪作は、幼い頃自分だけが両親と離れて育てられたことから、母に捨てられたという想いを持ち続けていた。父の死後、妹たちが母、八重の面倒を見ていたが、八重の認知症が進み、洪作が引き取ることになる。その一方で、洪作は仕事に忙しく、三人の娘との関係がうまくいかず悩んでいた。やがて、八重は夜に徘徊し、子どもや孫のこともわからなくなっていく…。

【配信期間：2021年9月15日～10月14日】