あらすじ：ビリー・ワイルダー監督がジャーナリズムの暴走を痛烈に描いた社会派問題作。ワイルダー作品の中ではあまり有名ではないが、ここに描かれる報道の狂気と暴力は、公開当時以上にネット社会となった今、より深刻化しており改めて評価されるべき傑作。第12回ヴェネチア国際映画祭で黒澤明監督の『羅生門』と競い、金獅子賞は譲ったもののワイルダー監督が国際賞および音楽のヒューゴ・フリードホーファーが金のオゼッラ賞を受賞した。

　『スプレンドール』(1989)、『マッド・シティ』(1997)、『チキンラン』(2000)、『マジェスティック』(2001)、『ノー・マンズ・ランド』(2001)、『クライマーズ・ハイ』(2008)、『ナイトクローラー』(2014)など、本作は報道の正義を問う古典的名作として多くの映画作家に影響を与え、数多くの作品の台詞の中で題名が挙げられ、また現代を舞台にしたジャーナリズムに関する新たな物語の基礎となっている。
　大手新聞社の敏腕記者だったテイタムは酒と乱暴な仕事ぶりで職を失い、小さな地方紙の記者をしていた。彼は別の取材で立ち寄った土地で、古代先住民の墓だった洞窟で発生した落盤事故による生き埋め現場に遭遇、事故を先住民の呪いと報道して人々を煽り、さらに救出活動を大規模に演出して取材を独占する。テイタムの記事で現場には全国から見物客が集まり、お祭り騒ぎとなるが、救出は逆に難航し、被害者の生命が危機に陥る…。


【配信期間：2021年11月24日～12月23日】