あらすじ：『誤発弾』(1961)、『金薬局の娘たち』(1963)などの巨匠ユ･ヒョンモク監督が1979年に完成した代表作の1本。1973年に発表されたユン・フンギルの同名短編小説を原作に、朝鮮戦争がもたらした民族分断の悲劇をある旧家における女たちの対立と葛藤の中、朝鮮時代からの伝統的シャーマニズムや牧歌的なエロティシズムの要素も加えて象徴的に描いた傑作。第18回大鐘賞で優秀作品賞、撮影賞を受賞した。

　本作の完成は1979年だが、同年10月26日までの朴正煕政権時代は映画に対する検閲が厳しく、韓国での正式な公開は1981年5月まで待たなければならなかった。ユ･ヒョンモク監督は、ラストに登場する大蛇は民族の血の共通性の象徴だと語っている。また、韓国に実際にはあれだけ大きな蛇は生息しておらず、蛇を扱う業者に依頼して調達し、蛇のシーンに最もフィルムを使用したという。
　朝鮮戦争下、梅雨の長雨がふりしきる全羅南道の村。少年ドンマンの家にソウルから疎開してきていた母方の祖母が共産軍との戦いで息子が戦死したことを予感する夢を見て、それが現実となる。一方、父方の叔父スンチョルは人民軍の共産主義に感化され、家を出て左翼パルチザンとして人民軍に加わっていたため、父方と母方の祖母が対立し、幼いドンマンは１つ屋根の下に住む親族間で起こった分断の悲劇を目の当たりにする…。


【配信期間：2021年11月28日～12月27日】